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勝手に株価算定:AI Cross社

どうも最近のインターネット系スタートアップはバリュエーションがおかしいです。

 

Slackは初値が37ドル、上場約3ヶ月後の9月13日現在で25ドル(騰落率▲32%)、SanSanは初値5,590円に対して、上場約1ヶ月半の今は約4,400円(騰落率▲21%)、メルカリは初値4,550円に対して、約2,700円(騰落率▲40%)、と軒並み下落しています。

 

そこにあるのは、IPOの初値で売りぬく「儲けセオリー」の存在かと思います。初値が上がる前提=バリュエーションをせずに公募価格を原点として考える、というもはや盲目的な投資です。

 

長期的に投資を考えると、株価は継続的な利益(キャッシュフロー)の積み重ねから生まれます。ですので、今回はかんたんに、直近IPO予定の会社の株価算定をしてみました。

 

SMSやビジネスチャット事業を提供するAI CROSS社がその対象です。

aicross.co.jp

 

10分でつくったDCFモデルの意味

ベンチャーをDCFでバリューションするのは賛否両論ですが、私は長期的な視野に立つとマルチプル法よりもDCFを信じています。

ただ、将来キャッシュフローをゴリゴリ精緻化したり、WACCをいじりまくったりする積み上げ式のDCFではなく、売り出し価格が正だとしたときに、成長率やWACCが異常なことになっていないか、というゴールオリエンテッドなバリュエーションです。

 

ですので、運転資金や在庫回転率などは無視しまくりです。インターネット系になると、減価償却や在庫が少ないので、影響はないという割り切りです。本当は売掛と買掛の差分はあるので、Working Capitalは考えるべきですが、時間がもったいない笑

 

想定価格が無理のないバリュエーション

AI Crossの想定価格は一株あたり1,010円だそうです。

そこで1,010円に近くなるDCFを回してみると、売上成長率は5年間で170%から120%へ低減、WACCは10%、PGR2%で、1,258円というまずまず近い数字が出てきました。

2019年の対前年売上成長率を140%まで落としても、株価は1,048円。ただ、今年の上半期の成長率がかなり落ちているので、2019年の対前年売上成長率を125%まで落とすと、740円。

 

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リーズナブルな価格設定のAI CROSS

想定外にリーズナブルな価格設定のようです。IPO初値で儲けるセオリーが広まっている中、このリーズナブルな価格設定なら、初値は大きく上回るでしょう。

 

一方で、とんでも株価の銘柄もあるのは事実

経営陣やVCがエグジット目的の銘柄には、DCFではどうやっても算出できない銘柄もあります。こうした銘柄は、初値はぎりぎり保てたとしても、SlackやSansan同様に、数ヶ月で30%から40%の下落リスクは高いと言えます。

 

会社が勝手にきめた想定価格を信じず、自らの努力と時間で利益を計算することをおすすめします。必ず儲かるという話に、いいことはありません。Hasta luego