東大のすすめ|「入るのが難しい」のではなく「入ろうと思う」ことが難しい
東大をめざすことなく、東大に無条件の敬意や悪意を感じている人が多くいます。
私は、誰だって東大に入れるのにと思っているのですが、大多数は「私にはむり」と言います。
世界で戦える日本を作るためにも、その感覚を捨て去ってほしいと思い、ブログを書いてみました。
普通じゃない東大生
「頭がいいんですね」
「勉強ばかりしていたんですか?」
「東大なのに、こんなことも知らないんですか」
「東大なのに、腰がひくいですね(プライドが高くないんですね)」
東大卒業生がよく言われる言葉です。
かなりの確率で、普通じゃない人がいく大学と捉えられています。良く言えば優秀、悪くいえば世間からズレている。
Q.東大生のイメージを教えてください(複数回答)
1位 頭がいい 62.9%
2位 変わり者 24.4%
3位 プライドが高い 20.2%
4位 まじめ 16.2%
5位 将来は官僚を目指している 14.3%
現実は東大もかずある大学の1つで、他の大学と偏差値だって変わらない。世界的に見たらランキングは低いし、清華大学やMITのほうが「普通じゃない」。*2
でも、日本ではまだまだ東大は「普通じゃない」んです。特に地方に行けば行くほど、東大生の生存数が少ない(東大生の多くが卒業後は東京や海外に生存)ため、東大生は未確認生物みたいなものです。
なかには、このようなサイトまで存在し、どこで統計をとったのか非常にあやしい情報が跋扈しています。まさにカテゴリー思考のかたまりのようなサイトです。
「自分の子どもは普通」と思う親
一方、多くの親は自分の子供に対して「うちの子は普通」と思っています。とくに、地方の親御さんには顕著に感じます。
想像してください。
あなたは今、高校2年生。これから3学期が始まります。まわりは、そろそろ受験を意識しはじめます。友達は、推薦で地元の大学にいくことを決めていたり、とりあえず塾に行きはじめたりしています。あなたは英語は不得意じゃないけど、学校内では上位というわけでもありません。
そんなとき、「俺は、スタンフォードに行く!」って言ったとしたら、あなたの親はどんな反応をしますか?
多くの場合、親は子供を「普通の子」と見ています。自分の子供が「東大を目指す」というと、「身の丈にあったとこにしなさい」とリミットをかけてしまう。あるいは、子供自体も受験勉強前からMARCHを狙っている。まわりの友人と比較して、落ち着くところにゴールを設定するのです。
目指すこと自体にリスクのある東大
そんな親のアドバイスを押し切ってまで東大を受験する子供は少ないでしょう。この段階で、本当は受かる力をもっている子供の多くがふるい落とされます。
次にやってくるは、周囲の目です。東大生が少ない学校や地方だと、東大を目指すこと自体が目立ちます。
東大専門のコースをもっている塾はほぼ首都圏なので、地方だと私立志望の人と一緒に学びます。なので、いやがおうにも目立つのです。さらに、地方だと浪人もしにくい。
なので、東大を目指すことは衆人環視のなか、背水の陣で戦うかたちになります。
他の大学となんら変わらない、むしろ入りやすい?
ここに、500人の東大受験生がいます。ことしの東大法学部入学者数は421名。つまり、422人目は浪人か別の大学に行ったわけです。
421番めの学生と422番めの学生の間に、大きな差があると思いますか?
ないんです。でも、片や一生東大生レッテルで生きていく。421番めの学生は「普通じゃない」けど、422番めの学生は「普通」あつかい。
さらに受験の倍率は、およそ3倍。理科一類なら、全受験者の41%が合格しているんです。立教大学なら6倍から10倍はあたりまえのなかで、東大は2倍から3倍の間なんです。
東大への幻想→東大を遠ざける→幻想が現実になる
結局の所、東大はすごいという幻想から、ことは始まっています。この幻想を持つ親が、子供を東大から遠ざけます。受験しなければ受かりません。なので、その家族から東大生が生まれない。結果、東大は「すごい場所」になる。
逆に、親が東大の子供には東大生が多い印象があります。それは、親がへんなリミットを持っていないからだと思います。遺伝ではありません。環境です。
ぜひ受験の機会を奪わないでほしい
東大がすごいかどうかは別の問題です。ここで伝えたかったのは、受験の機会を親や周囲が勝手に奪わないでほしいということです。
親や先生が勝手に決めた世界観で子供をはかると、子供の可能性が縮まります。私は、日本の学生が、ハーバードやMIT、清華大学を目指す世界を期待しています。そのためには、東大ごときで制限してほしくない。
でも、東大に入れば入ったで偏見で見られることは確かです。そして、受験勉強はそれなりに大変です。受験すれば受かるわけじゃないので、頑張ってくださいね。
Hasta luego
「ラップ型」の研究|話をかぶせる人について(どうでもいい話)
私は、話をかぶせてくる人を「ラップ型」と呼んでいます。オーバーラップ(重ねる)とインターラップ(割り込む)から、勝手に私が産み出した言葉です。
複数人で会話していると、つぎみたいな会話ありません?
A「この前さ、◯◯社のマーケティングセミナー行ったんですよ」
B「そうなんですね!?◯◯と言えば、▲社長元気かな?」
C「最近、リード数が減り気味で、増やす施策を考えたいんです」
D「ちなみに、今あるアイデアはどんなのがあるんです?」
B「リード減少には、3つの切り口がセオリーですね」
Bがちょいちょいウザい笑
ラップ型の症状として、
「なんだか凄そうなことだけど『それで?』となる内容を、聞いてもないタイミングで答える」
があります。
ラップ型とラップ型が戦うと、こんな会話の末期症状が。
A「そういえば、この前の焼き肉で◯社長にあったんですよー」
B「おー◯社長。むかし◯社長とは良く(=1から2回)話したなぁ。焼肉といえば、この前☓☓行ったんですよ」
A「おー、あの会員しか入れないところですね。僕は肉にはワインをあわせたいんで、△△に行くんですよ」
かぶせあってる。
「お前の言っている内容は、俺の知識範囲内だ」という攻防戦ですね。
ラップ職人になると「無知の知」を語ります。
「◯◯さんの言ってること難しいなー。私は、わからないことは正直にわからないって言うようにしてるんです。無知の知ってやつですね。まだまだ勉強です」
いや、後半いらないし。
根底にあるのは承認欲求?
他人から博識と言われたい、顔が広いと言われたい、という欲求がラップ型には潜んでいます。
こういう方は、得てして忙しさをアピールする傾向にもあります。土日に仕事してるところをフェイスブックにポストしたり、24時くらいにプレモルとともに「頑張った自分におつかれ」をポストしたり。
ラップ型は知識や人脈を見せびらかせていると思われる
ラップ型の特徴は、新入社員などにはウケがいい。ただ、管理職や中堅女性社員からは「めんどくさい」と言われがち。
ミーティングをする意味のひとつに、お互いの知恵を積み上げて、一人じゃ行けない領域に達する、ことがあるとおもいます。
でもラップ型のひとは、他の人のブロックを奪って、ひとりで積んでいく。なので、ミーティングのメリットが得にくくなるのです。
おおむね海外で日本ラップ型は通用しない
海外の方とミーティングすると、結果にこだわります。なんのためにミーティングをして、何をお互い得たいのかが事前に明確になっています。
なので、たとえ凄そうな内容でも結果に関係ない会話をはさみ続けると、途中から無視されます。
下手に人脈を語ろうものなら、すぐに紹介してくれ!いつ紹介してくれる?来週でいいか?と差し込まれてしまいます。土日に働いてる姿をポストしても、すごいとはなりません。
欧米では、日本人以上に私社会であって、他人からの見た目を気にしない傾向にあります。ですので、承認欲求ちゃんの様な人は孤独を感じます。
しかし、海外ラップ型はもっとウザい
海外ラップ型は、ただ話したいことを話すタイプです。勝手な言い分ですが、インド人に多く感じます笑(インドの方、すみません)
人の話を聞いてる雰囲気もなく、突然ワーっと話す。ひどい場合には、話したあと会議を出ていってしまう笑 意見に脈略がない笑
この海外ラップ型は、正直きつい。特に日本人にきつい。
日本人は比較的真面目なので、「この会議をどうにかしなければ」とか思っている。そこに、海外ラップ型が爆走ラップしていく。その後に現れるのは会議のカオス。
インド人同士とかだと、ラップに対してラップし返して叩き潰したり、カオスのまま会議を終わらせたりする。それでも、結果は出すんです。なぜか笑
それを、日本人はどうにかしようとするんですね。でも、その努力をみんなが理解してくれるかというと、そんな甘くはない。だから骨が折れます。
やっぱり聴く人は一目おかれる
知識やスキルがあっての話ですが、人の話をじっと聞き続けられる人はいちもく置かれます。これは海外でも感じます。
聞いて聞いて、しっかりと意見を言う。そして実行する。
あたりまえの様ですが、最後の実行が大事です。数ヶ月程度であれば、ガンガン意見を言うやつは可愛がられるますが、やはり承認欲求からの発言だと、どこかで限界が来ます。
なので、私ごとですが「聴くようにする」というマインドをもって会議には参加します。なにを隠そう、私もラップ型なので笑
どうでしょう、日本ラップ型がかわいく見えますよね。なので、これから日本ラップ型に出会ったら、「知らないことあります?」「顔が広いですねぇ」と褒めてあげてください。Hasta luego.
就職活動してる女性におくる海外キャリアのつみかた
海外、とくに東南アジアで働いていると、非常にアクティブな日本人女性に出会います。そんな女性たちと触れ合っていく中で感じる、女性だからこその難しさを書かせてもらいます。
ただ、私は男です。なので、私が女性のキャリアについて書くことは、完全に的外れかもしれません。
でも、キャリアアドバイザーが男性であったり、女子サッカーの監督が男性だったりすることもあるので、別に100%間違えというわけでもないでしょう。
全員にあてはまらないことを前提に話します。その前提で、誤解をおそれずに書いてみます。
結婚につながる出会いが少ない
海外、とくに東南アジアは、女性にとって出会いが少ない場所です。
日本で仕事経験をつんでから海外にでる日本人は、早くても26歳から28歳くらいで渡航するかたちになります。
相対的に結婚年齢が低い東南アジアにおいて、28歳で「生き遅れている」と言われることは、おかしいことではありません。ですので、渡航先で適齢の男性を見つけようとすると、かなり若い男性になりがちです。その一方、日本人駐在の男性は既婚者が多い上に、現地の若い女性と付き合う傾向があります。
このため、独身で海外の仕事を選ぶ場合、結婚につながる出会いという点において日本よりも機会が少なくなります。中には欧米人と付き合う女性も多くいますが、結婚という点ではレアな印象です。
ですので、30代独身で東南アジアにわたる場合、結婚の機会を逃すリスクは無視できません。
子供を産む、育てるを考えると東南アジアは1つ遅れる
女性は子供を産む能力を持っています。でも、この能力は年齢とともに減少していきます。高齢になれば、産む側への負担も大きくなりますし、子供への影響も無視できなくなります。
子供を産むのに適した年齢を40歳から45歳とすると、子供をほしいと思う女性はそれまでに結婚を希望します。
上で書いたとおり、30代独身で海外に渡る場合、海外滞在中は独身をつらぬく可能性が高くなります。つまり、子供が産めない可能性というものも高まります。
子供を産むことができても、日本のように産休や育休への理解が低い東南アジアだと、出産の負担が高まりますし、医療・教育という点でも不安が生じます。
「日本で鍛えてから海外」という意味は男女でことなる
日本で3年から5年経験をつんで海外へ、という考えは大いにあると思います。しかし、上で述べたとおり、女性が30代を独身で東南アジアで過ごすことの意味は、男性と少し異なります。
女性にとっては東南アジアでの仕事は、すこし意味が重くなる印象です。
女性は、早めに海外にでることを考えてもいい
東南アジアで働いていると、非常に女性の優秀さが目につきます。特に、日本人の女性は、非常に真剣に、そしてアクティブに仕事しますし、実際、男よりも活躍しています。そして、独身者が多い印象です。
彼女らからすれば、結婚とか出産ということはさほど重要なことじゃないのかもしれませんし、それを他人がとやかく言うことでもありません。
ただ、今就職活動をしている女子大生の方々などは、一考してもいい要素だと思います。「日本で経験を積んでから海外にでる」とアドバイスする日本人男性は多いです。
ただ、女性にとっては、先に海外にでるという選択肢はあると思います。20代は海外でバリバリ経験を積んで、30代で日本にもどり、結婚・出産を経て海外に復職するという流れです。
一旦東南アジアにでると日本に戻りたくなくなる人が多数います。ですので、必ずしも私の考えは、考えどおりには進みません。
偶然、インターンシップの女性と話す機会があり、こんなことをつらつら考えた1日でした。Hasta luego。
ベンチャー企業での飲み会が大企業と違う理由
39歳という無謀な年齢で、私は当時50名ほどのスタートアップに転職しました。
それまでは、一部上場の日本最大級の会社で16年ほど勤めてました。自分で言うのもおこがましいですが、昇進は同期の中でもトップで、まぁ安泰な人生を歩んでました。でも、なかなか自分の希望する仕事を手にすることができず、「あとは野となれ山となれ」と言う気持ちで飛び出したのです。
3年たった今、大企業とスタートアップの間でいろいろな差を感じてます。人やスピード感、文化、働きかたなどなど。
真面目な比較は、ほかのすごい人にとっておいて、ちょっとしたことだけど大きく違う「飲みかた」をご紹介します。
同僚と飲んで職場をかたる大企業
基本、同僚と飲んでました。あるいは、職場関係のパートナーさんですね。
パートナーさんといっても、お客様というより、発注先や委託先といった「こちらがお客様になっている会社」が多かったです。
残業が多く夜11時ごろに終わるのはザラで、それからお客様と飲むのはほぼ不可能。結局、同僚と「疲れたぁ、いっぱい行こーぜ」となるのです。
そこまで遅い時間から飲むと、話の内容も仕事になりがち。内容は、愚痴や笑い話です。
人脈を作るためにも外の人と飲みなさい、とは本に書いてあるのは知ってました。でも、お客様も大手企業の方が多く、飲み会を設定しようとすると4対4とかの大人数。そこに、部長とか取締役とかが混じれば、もう日程調整だけでカオスです。
なので、同僚との飲み会がほとんどでした。
社外と飲んで仕事をかたるスタートアップ
比較的働き方が自由になるので、仕事→飲みに行く→家で仕事という働き方も許されます。ですので、19時からの飲み会とかも無理なく参加できます。
また、スタートアップになると、個人プレイが増えます。無駄がないといえばない、逆に言えば一つのミーティングに2人や3人張るほど人がいないんです。なので、飲み会も1人参加が増えます。
同時にお付き合いする先も、わりとスタートアップや中小企業が増えます。相手も大人数を張るほど人がいない。つまり、スケジュール調整の手間が少ないんです。
さらに、1人で参加して内輪の話をするバカはいません。相手も同じ。なので必然、仕事や趣味の話に話題は集中します。
かくして、社外とのネットワークが広がります。
環境が飲みかたすら変える
このように労働時間やお客様の規模が飲み会の形態に影響を与えます。
「あの人達は同僚とばっかり飲んで保守的だ。だから大企業の人はこまる」という人は、完全にカテゴリー的思考にはまっているだけ。スタートアップにだって、同僚としか飲まない人が多くいます。
スタートアップは個人勝負の要素が強くなるのは確かです。なので、人脈という「会社に属さない能力」を磨くことは、非常に非常に大事になります。特に、私のように年齢の高い転職者が、転職先で評価されるのは確たる実績と人脈です。
年齢の高い転職者には、時間と権限の裁量のあるスタートアップがおすすめ
すべてのスタートアップに時間の裁量があるわけではありません。フラットだからって、あなたに決裁権限が渡されるかはわかりません。
24時間ガツガツ仕事するスタートアップもあります。若い人がスキルを伸ばすには最適ですが、人脈という点では難しい職場でもあります。飲み会で人脈を築くタイプの方は、そうした視点でスタートアップを見てみてください。
その上で、職場の人とだけ人脈を築くのか、一人で飯を食うのか、家族団らんを大切にするのかは、そのひと次第です。
あとはお酒に飲まれずに飲んでくださいね。Hasta luego
禁煙240日 タバコをやめた超かんたんな言葉
大学時代から約20年近くタバコを吸ってきました。
医者の友達には、「癌になったときの予後が悪いからやめな」と言われて来ました。
しかし、やめることなく昨年の12月まで、マルボロメンソールライトを1日数本吸い続けて来ました。あまりヘビースモーカー出なかったのと、出張先などで一人で酒を飲むときにタバコがあれば間が持つのが大きな理由でした。
お酒飲むことが理由でバーに来ているのに、それだけだと間がもたせられないのは僕だけでしょうか?バーでスマホ見つづけるのもかっこ悪いし、そんなに読むものないし。そんなとき、タバコって最高のグッズでした。
そんな僕が、昨年12月にタバコをやめました。これからも吸うことはないでしょう。
タバコをやめると、色々と理由を聞かれます。一番多いのは、体調が悪いのか?
とにかく、みんな理由を知りたがります。
他の人で多い理由が、「飲みの席で友達や上司にやめろと言われて、その場でタバコを捨てた」という武勇伝ですね。これは、自分の意思の強さをアピールするのに一番いい。でも、これでやめられるほど簡単なものではないのがタバコです。
そこで、参考までに私がやめた理由をここに共有します。
今まで、恥ずかしくて誰にも言えなかったのですが、ブログならと思い公開することにしました。恥ずかしい理由は、あまりに簡単すぎることと、意識が高く見えてしまうことなんです。
タバコがやめられないやつは、成功のためになにかを犠牲にできない
これが、僕がやめた理由です。
ナポレオン・ヒルは「思考は現実化する」で、こういってます。
実現したいと望むものを得るために、あなたはその代わりに何を「差し出す」のかを決めること。(この世界では代償を必要としない報酬など存在しない)
タバコ以外にも「差し出す」ことはできます。テレビを見ることや、お酒を飲むこと、ポテトチップスを食べること、 湯船にはいること、などなど。それが僕の場合はタバコだったわけです。
タバコすらやめられない僕が、人生の成功をかたるのってなんか薄っぺらいなと思ったんです。タバコをやめずに、「俺はプロサッカー選手になる」って言ってるような感じで。
自分が成功をこころざす際の、こころざしの強さを維持するためにも、いい機会になりました。タバコを吸うということ=「差し出す」気持ちが本気でない=実現したいと本気で望んでいない、という事実を認めることになるからです。
なにかを「差し出す」ことで、自分の意思を「本気で実現したいこと」に向けることができます。みなさんは、タバコである必要はありません。でも、なにか1つ「差し出して」見てください。
その「差し出したもの」をやめられなければ、あなたの実現したいことは、その程度のものなんです。
なんか、かっこ悪いじゃないですか。だから辞められるんです。Hasta luego
海外責任者50人と対談|日本SaaSの海外問題
ほぼ毎日のように飲みに行くため、嗅覚でイカの一夜干しがありそうな店がわかるようになった私(嘘)です。
お酒は別に好きじゃないんですが、飲む雰囲気は好きでして。
特に、海外サービス展開を志すものとしては、同士との情報交換は熱くなれる瞬間でもありまして、ビールがめっちゃすすみます。ビールが進むと議論もすすみ、そして忘れてしまう笑
かれこれ、この1年で50名近くの海外展開責任者に会ってきました。すべて、SaaSサービスを展開している方々です。非常に限られたリソースの中で、自社サービスを実際に営業して、海外のお客様の反応を感じている張本人たちは面白いです。
これまでの対談で感じた、唯一無二の日本の課題を書いてみました。あくまでIT系サービスに限った話で、製造業や商社、人材紹介業は全く別の議論です。
1. ほとんどの海外展開が「テスト」
私 :「なぜ、御社は海外展開するのですか?」
先方:「海外の成長で日本の落ち込みをカバーするんです」
私 :「いつまでに、どれくらいカバーするんですか?」
先方:「それを、いま探ってます」
私 :「その目標設定が先にないと国とか選びにくくないです?」
先方:「そうなんです。でも幹部に『どれくらいの市場があるのか』を示すのが先なんです」
私 :「結果次第では、海外に出ないという選択肢もあるんですか?」
先方:「いや、『海外市場を開拓しろ!』がミッションなので...」
こんな会話が9割くらいの確率で起こります。
おおむね、「海外=日本以外」という大きなくくりをして、担当者を2〜3名張って「開拓しろ」と号令されているようです。ここでの問題は、「どれくらい開拓しろ!」という明確なゴールが設定されずに走らされている人が多いこと。このため、責任者側から幹部に対して、海外に対する明確なゴール設定と日本同等のリソース配分の嘆願されます。
一方、幹部の言い分も聞いています。それは、「海外市場がよくわからないので、正直ゴール設定が難しい」というまっとうなもの。期待はしたいけど、どれだけ期待していいのか分からないのです。
両者ともに非常に合理的な回答です。このため、多くの場合は「目標設定をするために、まずは小さくテストでやってみますか」という折衷案に落ち着きます。
上の会話例から論理をつなげてみると、こうなります。
- 海外の成長で日本の落ち込みをカバーしたい
- でも、目標設定が難しい
- なので、まずは小さくテストをやってみる
「まずは小さくテストをやってみる」という言葉において、「なにをテストするのか」が文字で明確になっていないことにお気づきでしょうか?対談していく中で、ここを明瞭にできていない会社はほぼすべてでした。ウチも含めて笑
そして、これがのちのち大きな問題の根源になります。
2. 「小さくテスト」が生みだす、海外責任者の迷走
テストする上での次の議題は、どの国に進出するか。ここらへんから、海外責任者の責任範囲になります。
海外責任者はGDPや人口成長率などを調べて、国を選びます。そして、国が決まると、人が派遣されます。
ここで、先ほど言った「なにをテストするのか」問題が起こります。というのは、海外に派遣された責任者が「なにをテストするのか」を勝手に次のように読みかえるからです。
「(選定された国で、ウチのサービスが売れる可能性を)テストする」
地味ですが、これは本当にマズい読みかえなんです。
例えばインドネシアを選んだとしましょう。
本当にテストしたかったのは、「日本の成長の落ち込みを、埋め合わせられるほどの数字をもつ市場が海外にあるのか?」です。
なので、インドネシアは世界市場代表として位置づけて考えなきゃいけないんです。培養液みたいなもんなんです。たとえ、インドネシアのナシゴレンが美味いからといって、他の国にないナシゴレン料理の腕を磨くのは本末転倒なんです。
でも、100%転倒します笑
「インドネシアでウケるのはナシゴレンです」「ベトナムならフォーです」と、各国をミクロに捉えた派遣駐在員が、その国でしかウケないものに注力しはじめます。そして、それをローカライズ、と名付けて納得します。
3. ローカライズしてもローカルSaaSには勝てない
複数の国にも共通する市場を狙うから、グローバルプレイヤーの価値が出るのです。ナシゴレン調理器具ではなく、パクチー専門調理器具を作る、という視点です。1カ国ごとに撃破するなら、それはグローバルプレイヤーというよりも、ローカルプレイヤーの集団です。
つまり、各国ごとにローカライズするのではなく、各国単体では小さいけれども国をまたげば大きな数字になるマーケットこそグローバルプレイヤーが狙うべき領域です。
グラフィックデザイナー、CADデザイナー、エンジニア、一級建築士、弁護士、会計士など、このような、単体ではニッチだが国横断で存在する市場こそが狙い目なのです。
しかし、国を担当者に任せると、担当者はその国だけを見て成功レシピだけを考えます。単独では売上の小さいニッチマーケットなんて手を出すわけがないのです。
「2.5億人いるインドネシアだけでも成功できたら十分じゃないか」
と、今思いましたよね。もし御社が、SaaSで全人口をターゲットにできるサービスを持っているなら正解です。Amazon Web Servicesのような規模で戦えるのなら。
でも、ほとんどの会社は年間1億円も海外に張っていません。そんな小さな投資で、その国をとれると思うのは、少し虫が良すぎませんか?また、普通のサービスには「ターゲット」があり、それは全人口ではないはずです。
さらに、市場が大きければ大きいほど競争は激しく、ローカルになればなるほどローカルプレイヤーが強いんです。インドネシアはAmazonではなくTokopediaですし、シンガポールはShoppy、ベトナムはTiki、中国はAlibabaなんです。
4. 日本で解決しているお客様の困りごとを海外にも展開する
ここまでの話の流れにのると、「日本の市場の落ち込みをカバーすべく、単体ではニッチだが国横断で存在する市場があるのかを○○国でテストする」となります。
なので、テストする国を決める前に、「国横断で存在する市場」に対する仮説が必要になります。
そこで、大事なポイントが。みなさん、すでに日本人のお困りごとを解決しているサービスなんです。であれば、そのお困りごとは「国横断で存在する市場」の1候補ですし、実際利用されているので最も堅い候補なんです。でも、話はそう簡単にすすまない。
5. 日本の成功に自信がない経営者と真実を伝えない駐在員
100人の経営者にあうと、ほぼ99人は「日本はわかるけど、海外はわからない」と言います。謙虚ですばらしい!
でも、日本だって世界のひとつなんです。なぜ、日本だけ特殊と思うのでしょうか?この点、アメリカ人は強いです。アメリカが世界だと思ってるくらい自信過剰。トランプ大統領を見ればわかります。
なので、日本人幹部は「日本での成功事例を海外展開する」というと「海外はそんなに甘くない」と言って返します。ちょっと前には、海外がわからないと言ってるのに。でも、その事例は会社の財産であり資産なんです。でも、自信がない。
一方、海外駐在員はどんな感じかというと、いつのまにか国の代表者になっている。「社長、インドネシアでは特有の商習慣があり、日本とは違います」とか言ってくる。そんな部下の自信あふれたローカル情報に、社長も「そうか!やっぱり現地に根付かないと駄目だな」とか言ってる。最悪は、ローカル社員が言う言葉を、そのまま鵜呑みにする。
駐在員は自分の存在意義を出すために、その国を独特な市場に色付けしたがります。また、都合の悪いことは「伝える必要のないこと」としてレポートしません。こうして、ますます経営者は海外が「わからなく」なるのです。
ここまで、つらつらと「あるある」を書いてきましたが、私の思う処方箋をここに書いておきます。
まとめ:テストの際には①国ではなくターゲットを、②日本で成功しているターゲット初期仮設にして選ぶ。そして、国責任者ではなく、ターゲットごとの責任者(CTO:Chief Target Officer)をおく。
SaaSが海外にでるなら、営業、経理、エンジニアといった職種軸と、製造、建築、運輸などの産業軸の2種でターゲットを選びましょう。その際には、日本でのユーザー層を参考に、複数候補を選びます。そして、その候補のなかから、他の国にも普遍的に存在しているターゲットを仮説として選び出します。
そして、責任者は国に置くのではなく、ターゲットごとに置きましょう。そして、国単位でテストするのは、その仮説が日本以外でも実証できるかであって、その国単独での生き残りではない、ことを明確にします。
そこには、経営者のコミットが必要です。駐在員に任せきりでは、本当の情報は上がってきませんし、彼らは現地での生活に惰性でなれていくだけになります。
最後に
日本にベンチャーキャピタリストと言われる方々にも話を聞いてきましたが、彼らから得られるものは何もなかった。正直、日本人のVCの殆どの方は銀行員と変わりません。変わるのは、Tシャツが許されるかどうか、くらい。
本当に大変な目にあいながら、日本のサービスを海外に展開しようとしている人々(メルカリさんやユーザベースさんなど)は、全国民をあげて応援してほしいです。
少し言葉が過ぎました。Hasta luego
流暢はダメ|アジアで通じる英語に必要な3つのコツ
最近はもっぱらアジア出張が増えた私ですが、現地では日本語、英語、現地言語の3つで話します。とはいっても現地言語なんて、からっきし。相手が苦笑いではなく、爆笑しちゃうくらいのレベルです。ですので、基本は英語です。
かれこれ10年近く海外の仕事をしてますが、アジアでは通じる英語と通じにくい英語があります。流暢だから通じるとかではありません。むしろ流暢な方が通じません。
大手企業の方は、相手も大手企業のエリートが多いので問題はないでしょう。なんなら通訳やとえますし。ベンチャーを相手にするなら、英語の心得が必要です。通訳費用なってただのコストですから。
コツ1:相手の英語がたどたどしい場合はズバッと伝える
シンプルに「ズバッと伝える」がコツです。英語を学ぶと、wantよりもwould like toが丁寧とか、Could you ....?が丁寧とか習います。アジアでは忘れましょう笑
無礼上等くらいズバッと言うことが大事ですし、文法をあえて無視するのも大事。つまり「こんな英語を話したら恥ずかしい」というプライドを捨てることが重要です。
「プレゼンテーション資料を作ってください」
を
"Could you make a presentation material?"
というよりも、
”Make a presentation material, please"
で良いんです。
とにかくズバッと言う。これがコツです。
コツ2:過去の話にはAlready、未来の話にはYetをつける
上の会話をしたあとで、「ねぇ、あの資料つくった?」っと聞きたい場合、
"Have you already finished making the material?"
よりも
"Did you finish the material ALREADY?" (ときにはDidすら省く)
のほうが通じます。現在完了とかは全部過去形にして、最後にAlreadyをつける。こうすると、たとえ全部が聞き取れなくても「終わったかどうかをコイツは聞いてるな」というのが通じます。逆に、「まだ、できてない?」でしたらYetをつけてあげる。
たとえ、一部を聞き逃しても通じる英語をつかうことが相手に対する優しさです。
コツ3:復唱してもらう
普通のビジネスの場で、お客様やパートナーに「俺の言ったこと、繰り返してみろ」と言ったらオワリです。なので、私の場合は「自分は英語が得意じゃなく、うまく伝わらなかったと思います。念のため、Next Actionが共有されているか、お互いで共有させてください」といって、復唱してもらいます。
"I am not good at English. So I think you can not understand well in some part. So, I want to confirm our next actions each other. My next actions are ..... What are your next actions?"
みたいな感じです。ここでも、難しい言い回しを切り捨て、文法誤り(couldn'tじゃなくcan not、with each otherじゃなくeach otherなど)を気にせず話すことが必要です。
シンガポールやマレーシアのビジネスマンや、各国のエリートたちは普通に英語を話します。でも、他の人々は、私達と同じように英語で苦しんでいます。
「俺って話せるんだぜ英語」ではなく「一緒にがんばって理解しようね英語」で話すべきです。
また、アジアあるあるとして、わかってないのにわかったふりをします。日本人も同じです。「きっと会議参加者の誰かがわかっているだろう」という安心感で聞いてたら、全員わかってないという悲劇が起こります。なので、しつこいくらいの確認がアジアでは重要です。
恥ずかしがらずに生きましょう!Husta luego